2010/04/29

【Sound Works】S90XSインプレ5:まとめ…原点回帰したSシリーズ

◎さて、延々5回に渡って誰も読んでいないのに、そして未来永劫誰も読む事がないであろうのにお送りして来たS90XSインプレ、前回までで一通りのS90XSの機能はナメた(まあプレイバックシーケンサとオーディオ機能は見てないが)ので、今回はまとめで行こうと思う。

◎「プレイヤーズ・シンセサイザー」としてS80から始まったSシリーズ、MOTIFが出る前、S80はかなり欲しいシンセだった。鍵盤楽器然とした風合いと、「演奏する事」だけに絞り込まれた機能、という、当時他には無かった個性が魅力だった。しかし母体がMOTIFに移行してからの2機種…S90、S90ESはなんだかんだ言っても結局「先行のMOTIF+ピアノ音色-シーケンサ」以上でも以下でもない、どこかしら没個性的になてってしまっていた。

◎その点S90XSは単純な「MOTIF XSの後追いモデル」でなく、初代S80への原点回帰的な、他にはないはっきりとした個性を二つの面で持っている。 それがMOTIFから外されたものと、MOTIFから変えられたものだ。
外されたものは…シーケンサは勿論の事、大型のLCDもやめたし、内部エディットも出来なくなった。プラグインボードも廃止され、フィジカルコントロール機能も無くなった。 …と「無い無いづくし」で書くとネガティブだが、これらはどれも「演奏する」ためには全て必ずしも必要の無い機能ばかりだ。 画面なんか見ないし、音色はコントロール出来れば良い。 音が良ければ音源方式なんてどうでもいいし、フィジカルコントロールなんてなのは音楽制作で必要な機能だ。 純粋に「弾いて楽しむ」のなら、煩わしい操作や設定や機能は取り払い、良い音と良い鍵盤があればいい。

◎そしてこれらの「外された機能」はPCの側に移行させ、PCとの連携性が高められた。たとえば音色エディットがPCでのみ行える点、勿論これを嫌がる人がいるのは事実だが、どうあがいたって単体のシンセがPCの持つ表示能力・入力/コントロール効率の高さに勝てる訳が無い。
それならまとめてPCに移行させてしまったほうが本体がすっきりするし、結局作業効率も良くなる。 要は「PCでやったほうが良い事はPCで、本体でやったほうが良い事は本体で」と言う適材適所の思想がはっきりしているのだ。

◎一方MOTIFにないものはそれまでのYAMAHAシンセに無かったナチュラルなピアノ音色、強力かつ実用的なパフォーマンスモードやA/Dインプット、MOTIFとは全く違うレイアウトで専用に用意された操作子、コントロール先を選ばないマスター・リモートモード等、「目や手や耳が演奏に直結する部分」だ。 煩わしさを排除し、いかに演奏に没頭でき、いかにそれを「楽しめるか」という点、今までの「MOTIFの塗り直し」のS90系にはなかった特徴だ。正直、ここまで「弾く」ということを考え抜いて設計されたシンセは無いんじゃないかと思う。

◎そして…何よりも私がS90XSを買って「良かった」と思えるのは、ここまで書いた様な機能面での個性、YAMAHAカラーが持つ音色の個性、落ち着きのあるデザインと佇まいが魅せる個性…と、かつてS80が持っていた「機材」でなく「楽器」としての個性を持ち合わせている点だ。 シンセサイザー…特にデジタルシンセにおいてはどうしてもその機能と出音にばかり目が行って、結果「音の出る機材」と見てしまいがちだが、S90XSに関してはそれ以上に様々な面での個性が強く、他のどの機材と比較しても似ていない。 音源部のベースモデルMOTIF XSとも全く違ったものに仕上がっていて、出音以外は似ても似つかない自己主張を持っている。
「それ」でしか味わえない特徴があり、「それ」でしか味わえない楽しさがある。 それが「音楽を奏でるモノ」なら、それは機材ではなく、立派な「楽器」と呼べるのではないだろうか。

2010/04/24

【Sound Works】ガチンコ勝負!! EXS24vsS90XSピアノ対決!!

◎珠玉のピアノ音色がウリのS90XS。 しかしその波形容量はたったの140MBにすぎない。 一方で今をトキメクソフトシンセの容量は年々肥大化し、数十GBを超える容量のピアノ音源まで出て来ている。 さも、波形容量でかい=音がいい、とでも言いたげな程に。
実は私はソフトシンセのピアノ…当時はThe Grandの最初だったかな…が出た頃からこの考えに物凄く懐疑的だった。 レイテンシーとかなんとかいう以前の問題で、当時から「全鍵サンンプリング!!」なんて謳ったソフトシンセのピアノの音が㌧でもなくショボかったからだ。(当時はCPUでのプロセッシングという考え方自体に懐疑的で、事実当時のPCの実力では使い物にならなかった)

◎さすがにウチにはそんな大容量サンプルは無いが、それでも私の手持ちのソフトシンセのピアノ容量は500M近い容量がある。 メインがMOTIF8だった頃は流石に時代遅れだったのでLogicのソフトシンセを弾いていたが、S90XSに切り替えて以後全く弾いていない。 どう聞いてもS90XSのほうが上だからだ。
「え、それはお前がハードシンセ信望者だからだろ?」…と思われるかも知れない。 そこでそれを聞いてもらうべく、今回の企画
「ガチンコ対決!! EXS24のピアノvsS90XSのピアノ 出音対決!!」となったわけだ。 ひゅーひゅー。 どんどんぱふぱふ〜。
…風邪っぴきで外でらんなくて退屈でヤケクソになって始めた、とも言うけど。

◎では、ここで比較条件を列挙する。

  • 演奏データ:「最高のピアノ音源スレより」から、MIDIデータ(PianoCompare.mid)を拝借し、冒頭のボリューム127指示のみ削除してLogicで再生。
  • 録音方法:S90XSは一旦AW4416のヘッドアンプを通してA/Dし、デジタルでemi2|6へ送ってLogicへ録音。 ゲイン調整はヘッドアンプ。
    EXS24は直接バウンスで書き出し。 ゲイン調整はEXS24のボリューム+インストゥルメントトラックのフェーダで微調整。
  • 変換方法:Logic内でノーマライズをかけた後、Logicから直接192kbps mp3で書き出し。
…っとこんな感じ。 S/Nの面ではアナログ段での増幅がある分S90XSのほうが不利であることを憶えておいて欲しい。
では聞いてもらおう!!
S90XS:
Natural Grand S6
Full Concert Grand
Concert Grand Piano

EXS24:
Grand Piano(Garageband)
Carnegie Hall(Logic Express)
Yamaha Grand Piano(Logic Express)
Steinway Grand Piano(ProSamples)
ソフトシンセの下3つはコンプ切り、EQそのまま、リバーブをウェット5%とした。

◎まずGarageBandのピアノとLogic Expressのピアノ、これはもう勝負になってない。 ガレバンのピアノなんて、実はS90XSより波形容量が多い(約180MB)にも関わらず完敗である。音色が明る過ぎるし、リリースも長過ぎる。 まあ、これGarageband Instrumentsの初期値の問題なんだけど。 少しいじればかなりイイ線には行くが、どうやったってS90XSのナチュラルさには敵わない。
それ考えるとたった30MBにしてはLogic Expressは健闘していると言える。ただやっぱり明る過ぎるし、厚みが無くて淡白。 そして何よりダイナミクスに乏し過ぎる。EX5以前のYAMAHAシンセのピアノがこんな感じだったなぁ。

◎さてここから本命。S90XSよりはるかに波形容量の多いYamaha Grand Piano(約460MB)は…やっぱり勝負になってない。音自体は悪くないのだが、6秒近辺で急激に音量が変わるのが解るだろうか。 これ実際弾くと解るが、ベロシティでの波形変動が急峻な為イキナリ音が代わり、むちゃくちゃ弾きにくい。 またダンパーレゾナンスを波形切り替えで表現しているため、非常にあざとく、切り替えも不自然だ。
一方こちらも全鍵サンプリングのProSample(約250MB)、こちらはえらくのぺーっとしたダイナミクスの無い音。ただし響きは強くなっている…のだが、これも実際弾くと波形が急激に変わり、かなり弾きにくい。

◎とはいえこのへんはEXS24のセッティング…特にフィルターのキー・ベロシティスケーリングを作り込んでやればそこそこ弾ける代物にはなるが、波形切り替えがベロシティスイッチのみで、フィルタ・EGを1系統で処理しなければならないEXS24では作りこみがどうしても甘くなる。S90XSは8エレメントの強みを生かし、ベロシティスイッチに頼る事無く各波形毎に最適なベロシティレンジ・フィルター・キースケーリングを施してあるため、音のつながりやダイナミクス変化が極めて「自然」なのだ。 ここはいくらMIDIデータを緻密に作り込んでもソフトシンセには到達できない領域だろう。
そして、それ以上に致命的な欠点がこの2つには存在する。

◎18秒〜23秒近傍をよく聞いて欲しい。高周波ノイズがハデに乗っている。 これ、波形に乗っかってるフロアノイズがペダル奏法で幾つも重ねられてフェージングを起こしているのだ。
要はソフトシンセの常套文句「波形ループのない自然な音色」とやらのために微弱なディケイ波形までサンプリングし、アンプEGを使わず波形だけで音量を低下させているためフロアノイズが消えないのだ。
ハードシンセはループ波形のためディケイ部はシンセ自身が音量を下げており、波形に乗っているフロアノイズも下がって行く。そのためどんな安物であってもこんな情けない現象は起こらない。
そもそも波形ループが諸悪のように言われるが、ループ部分というのはもともと波形・倍音変動の少ない箇所で、そこをループさせてもリアリティへの影響度は極めて少ない事をいみじくもS90XSが証明してしまった訳だ。 まさに「木を見て森を見ず」ではないだろうか。

◎と言う訳で今回の対決は音色キャラクターの話に行く以前の問題でS90XSの圧勝、という結果と判断している。まあ流石にivory程になってくると(最高のピアノ音源スレのデモを聞く限り)フェージング現象は無いと思うが…うん? The Grandはちょっとその傾向がある様な…?
まあいずれにしても、「サンプリング」である以上集音時のフロアノイズや音色のバラツキは避けられないし、大事なのはそれをいかに最適な信号処理を行って行けるかと言う事だ。
まあ、ソフトシンセはどうしてもハードシンセ程信号処理に潤沢な処理リソースを使えないので波形容量に走るしか無いのだが…
大事なのは数値でなく出音、と言う事だね。

〜〜〜
ところで、S90XSは比較の為に3つのピアノ音色を乗せた。 3つ目の「Concert Grand Piano」はあまり聞き慣れないが、これも実はS90XSの追加S6波形を元に作られたピアノである。 GMバンクの1番で、他2つと異なりフラットチューニングとなっている。んでまたこれもGMバンクなのに8エレメント構成、ダンパーレゾナンスもしっかり備えられている。この3つを聞き比べるのも面白い。

【Sound Works】S90XSインプレ4:遊べるシンセサイザー

◎今回はパフォーマンスモードについて。 まあDTM専用音源でも無い限り、この「パフォーマンスモード」は必ず実装されてるが、正直なとこ「何の為にあんの?」という人も多いんじゃないかと思う。(※1) パフォーマンスの機能というと、せいぜい音色プログラムをいくつか重ねてアルペジオが鳴って…つったって、そんなもんを一体何に使えっちゅーんじゃ。 だいたいレイヤーサウンドつったって、8エレメントもあるんならボイス単位でレイヤーサウンド作れるじゃん… なんて思うかも知れないが、S90XSのパフォーマンスモードは違う。 プレイヤーにもコンポーザーにもスナフキンごっこ愛好家(※2)にもマッチする、かなり「遊べる」シロモノなのだ。

◎その大きな要因にA/Dインプットとアルペジエータがある。 A/Dインプットはちょっと置いといてアルペジエータだが、普通アルペジエータと聞くと押さえた和音を分解してパラリラパラリラ…なんて思うかもしれないが、S90XSのそれはアルペジエータと言うよりフレーズ/パターンシーケンサーである。いやもっと言うと、こりゃちょっとしたQYシリーズだw まあ冷静に考えりゃ「コードを認識してフレーズを鳴らす」と言う時点でアルペジエータとフレーズシーケンサは似た様なものなんだけど。

◎「4系統同時使用可能なアルペジエータ」ってのは結局の所、このパターンシーケンサ的なものが4トラックあると思えば良い。これをパフォーマンスモードの各パートに割り当てると、アレンジャーキーボードのような演奏が出来る。
具体的には、あるパートに自分が弾きたい音色を割り当て、残りの3つにバッキング楽器、ベース、ドラムと割り当てる。 そしてその3つに適当なアルペジエータのパターンを設定すると…おお、こりゃホントにQYだw
S90XSの場合プリセットにもそういうプログラムが入っていて、アルペジエータで伴奏を鳴らしながら鍵盤でバッキングを弾いたりメロを弾いたり…おお、こりゃ一人ステージでもスナフキンごっこでも曲作りアイデア出しでもイケるぞ。

◎で、このパフォーマンス作りに重宝するのがパフォーマンスクリエータ。 これはボイスモードから呼び出す機能で、現時点でのボイスモードを元にレイヤー・スプリット・ドラムアサインといったパフォーマンスを作成できる。 例えばドラムアサインなら、現在のボイスをパート1として、ドラム音色がパート2にアサインされ、パート2のエディット画面に直接入る。 ここでドラム音色やアルペジエータパターンを指定すれば、ドラム伴奏がつくようになる、と言う訳だ。 パフォーマンスをイチから作る必要がないのでこれはラク。

◎ちなみにレイヤー・スプリット・ドラムアサインは同時に使えるので、例えばパート1のアコピとパート2のエレピをレイヤー、パート3はベースでC2以下の音域でアルペジエータフレーズを鳴らし、パート4をリズム、と言った風にできる。
またパフォーマンスに関しては本体でフルエディット可能…と言うかPCのエディターでパフォーマンスは操作できない。 これはこれで、曲作りやアイデア出しにS90XSだけに没頭できるのでいいと思う。

〜〜〜
◎さあこれで一人カラオケ、スナフキンごっこの準備はできた!! 後は歌うだけだ!! と言うコトで登場するのがA/Dインプット。 まあ、A/Dと言うよりマイクインプットなんだけど…ステージでの使用を考慮してか、XLR+フォーンのコンボコネクタではあるがファンタムは供給できない(=コンデンサマイクは使えない) まあ環境が良いとは言えない&なにが起こるか解らないステージでコンデンサ使う剛の者は居ないと思うけどw 普通にSM58か57でも突っ込んどけって話ですな。

◎で、このA/Dインプットのヘッドアンプゲイン調整はフロントパネルにデンと居座るノブで調整する訳だが、このヘッドアンプ、なかなか悪くない。音質的にこれといって見るべき点は無いのだが、普段使っているAW4416と比較するとフロアノイズがかなり低い。 この点だけでも大分使い勝手が良い。
そしてこのA/Dインプットからの信号は他のボイスと同様に2系統インサーションとリバーブ・コーラスを使用できる。(その分マルチでのエフェクト使用可能トラックが1トラック減るけど…)

◎ところでマイクからの声入力となるとコンプやEQはほぼ必須の機能になるが、インサーションエフェクトの中にこれらをまとめた複合エフェクトがある。
「MISC:Noise Gate&Comp&EQ」がそれで、その名の通りノイズゲートとコンプと3バンドEQを1系統のエフェクターで処理できる。 これがなかなか便利なのだが、ノイズゲートのホールドタイムが設定できないのと、EQであまり派手にローカットすると位相が狂いまくってしまうのが玉にキズ。

◎また、このA/Dインプットのエフェクト等セッティングはUtilityのVoiceから行う必要があり、ちょっとメニューの階層が深い。またここでエディットをするには流石に画面が小さい…と言う事で、A/Dインプットのセッティングはボイスエディターを使うのが一番手っ取り早い。 ここでの設定をStoreしておけばボイスやパフォーマンスの内容に関わらず保持されるので、特にそうそういじるものではないMISC:Noise Gate+Comp+EQなんかはオンにしたままStoreしておけば思いついた時に歌入れが出来る。 さあ、ここまでできたら後は思う存分弾け!! 歌え!!

〜〜〜

◎というわけで4回に渡って見て来たS90XSインプレ、これにて一件落着である。 え、もう終わり? そう。 もう終わりである。 これ以上ネタありません。 あと残った機能っつーとUSBレコーディングとプレイバックシーケンサーだが、どっちも私は使わないのでパス。(USBレコーディングなんかは、ステージではかなり使えそうだけど)
とはいえあと1回、最後にまとめを書こうと思ってるので、もう少しおつきあいをば。


※1:WaveStationやFS1Rのように、音色選択がパフォーマンス単位ってのも時々あるけど。
※2:近所の迷惑顧みず、たいしたことない腕前でピアノをかきならしつつ細々と歌って満足をしてしまう人の事。 要するに私。

2010/04/23

【Sound Works】S90XSインプレ3:使えるエディター・リモートモード

◎と言うコトで予告通り(今度こそ)エディターソフト及びリモートモード周りを見て行くことにする。
やや繰り返し気味になるが、これまでのシンセサイザーの付属ソフトはあくまでも「付属品」の扱いだったが、S90XSはスタンドアロンではコモンパラメータ以上の音色エディット等は出来ず、S90XSの持つ全機能を引き出すにはUSB接続されたPCが必須である。言い換えればエディターソフトまでを含めてS90XSとしてのコンポーネントを形成すると言って良い。
「えー、そんなのめんどくさいよー」と言う無かれ。 また従来までのエディターソフトで痛い目を見てアレルギーが有る(私自身も…)人も、そこらへんに投げ売りされてるネットブック1台買ってこよう。 それ位の価値はある。 つまり、出来が良いのだ。

◎セットアップに関しては前回を見てもらうとして、s90XSエディターはStudioManager経由での起動となる. 勿論DAWを起動したまま使用する事も可能で、Cubaseから直接起動させる事も出来る。
このエディターだが,パラメータがグループ毎に整理され,EGやスケーリング等数値だけでは感覚をつかみにくいものはちゃんとグラフィカル表示してくれる。ソフトシンセのエディット画面と似た様なもので、かなり出来が良い。
特に気に入ったのがEGで、ピッチ・フィルタ・アンプの各EGが重ねて表示される。この3つのEGの関係を把握するのが従来は難しかったが、こうしてくれるとお互いの関係を把握しやすい.

◎また、画像がそうであるようにマルチモードエディットから直接音色をエディット出来る点も大きい。音色エディット時にボイスモードに戻る必要がないので、曲作りと音色作りの作業を切り分ける必要が無くなる。
S90XS側でストア作業をしない限り音色やマルチはストアされないので、音色はS90XS側にストア、マルチはエディターで保存して楽曲呼び出し時に読み込んで音源リコール、といった事も出来る。
…Logicって、何故かファイル読み込み時にMIDIデバイスのリコールを行わないのよ…(一度でもトラック選択すればリコールするんだけど)
ていうかCubaseならこんな面倒な事する必要ないんだけどねw

◎操作性に関しても,よくある妙な「ツマミの再現」とかいう余計な仕掛けは無く,以外に素直. 勿論ロータリエンコーダやスライダ風のパラメータ表示ではあるが、, ポインタを乗せるとパラメータが拡大表示され,結構大きなストロークで操作できる. 勿論直接数値入力も可能で,少なくとも私が知る限り初代MOTIFのエディターよりずっと解り易く、使い易い.
そして何より通信速度・反応速度が非常に速い。まったくストレスが無く、マルチティンバーのソフトシンセをいじっているのと勘違いする程。今まで使ってきたMIDI経由のエディタソフトが悉く通信が遅かった(特にSoundDiverは酷かった…)のとは雲泥の差.

◎とりあえずまとめると、これまでの音色エディターが「まあしょうがねー、PCでも音色エディットできるようにはしといてやるよ」的なオマケ扱いだった(私が知る中で最悪だったのがローランドのXVエディター… あれホント最悪。)のに対しS90XSはそれ自体が必須の機能ということもあって、操作感覚・操作性、機能性、DAWとの親和性(同時使用含む)等の面でかなり作り込まれているのが良く判る。パネルデザインには賛否両論あるかもしれないが、私はそれほど気にならない。

〜〜〜
◎さてお次にリモートモードだ。リモートの仕様は前回書いた通りで、Port2から送出されるMackie Control互換プロトコルでのトランスポートコントロールと、Port1から送出される鍵盤・ノブ・スライダーでのMIDIコントロールが混在した仕様になっている。 このノブ・スライダーが送出するコントロールチェンジを割り当てるのがリモートエディターの仕事になる。

◎と、ここで。 LogicではMIDIコントローラから送出されるコントロールチェンジを、Logic内の任意のパラメータに割り当てる機能(コントロールサーフェス→アサインメント)がある。 これを利用すれば、ソフトシンセに限らずS90XSからLogicのトラックパラメータを操作する事が可能になる。
ともう一つ、Logic標準装備のソフトシンセは,外部コントロールチェンジでパラメータを操作する機能が設定されてない. KXシリーズにしてもs90XSにしてもLogic用ソフトシンセのコントロールテンプレートが存在しないのはこのためで,パラメータをコントロールするための設定はs90XS側でなくLogic側で定義する必要があるのだ.

◎…と言うことでまずはs90XSリモートエディターを使ってLogic用のコントロールテンプレートを作成する. もちろんこいつもDAWと同時使用可能で、パラメータ設定の為にDAWとエディターを開いたり閉じたりする必要は無い。
ノブとスライダーから何番のCCを送出するかは自由だが,とりあえず以下にした。
ノブファンクション1(Tone):CC74(カットオフ),71(レゾナンス),16,17
ノブファンクション2(Mic):CC7(ボリューム),11(パン),93(コーラス),91(リバーブ)
スライダ:CC73(アタック),71(ディケイ),79,75(リリース)
16と17は使用するソフトシンセによって割り当てを換える。 EXS24ではフィルタードライブとアウトプットボリュームに割り当てる事にした。

◎ちなみにこの割り当てにした理由だが、
・S90XSのパネルに書いてある機能(ToneとMicの欄)に合わせた
・Micのコントロール対象をトラックパラメータにする事で相手側がソフトシンセ・オーディオ・MIDIのいずれでも操作できるようにした
・スライダーがフェーダに使えないならスライダにADSRを割り当てたほうが判り易い、という判断。
・ソフトシンセ毎にテンプレートを換えるのがめんどくさいので共通化した
…といったところだ。人によって違うだろうが、一つの参考にどうぞ。
で、あとは以前ここで書いたのと同じ手順で、コントローラアサインメントを呼び出し、コントロールしたいパラメータ画面をクリック→ノブ・スライダ操作で割り当てて行く。前回と違うのは、「トラック」を「被選択」にすること。

◎…と、ここまでやった上での使い勝手だが…一言で「これはいい」。Mackie Controlで送られる機能が特に使い易く、カーソルキーでトラック選択できたり、A〜Hキーでスクリーンセットを変えられたり、ジョグダイヤルでトランスポートバーの位置を動かせるのは感動的。 うわー、MOTIFの時にハードウェアシーケンサーの操作性を思い出したと書いたが、それ以上w 主客転倒気味だが、S90XSにLogicが内蔵されてるんじゃないか? と思える使い心地。(私はもともとW5から打ち込みに入った人間だしね…)

◎そいでもってノブとスライダだが、初代MOTIFの時のように「どのスライダーがどのチャンネルに対応してるか」考えなくていいのがイイ。考えても見れば、たとえフィジコンのフェーダが8本あろうが10本あろうが、人間が1回にコントロールできるパラメータは一つなんだし、俯瞰して状態を確認するならミキサー画面で十分だ。 それよりも今アクティブなトラックに対して最小限の切り替え操作で様々なパラメータにアクセス出来るS90XSのリモート仕様のほうが合理的っちゃ合理的だ。
おそらくはKXもこの仕様なのだろうが、KXよりもファンクションが多い分、トラックパラメータに割り当てて「どのトラックでも同じ操作で同じパラメータを調節できる」のが物凄く便利だ。 いやーこれは使える!!

〜〜〜
◎ああ、分割したのにとんでもなく長くなってしまった… さて次回は、ステージパフォーマーから自宅スナフキンごっこ野郎(私)まで幅広く遊べるパフォーマンスモードとA/Dインプットについて見てみよう。

【Diary】 (,, Д )  ゜゜

◎死にそうな思いをしながら出社して…

そういえば今週末は給料日だった。 別にカツカツの生活をしている訳でもないのであまり給与明細は見ていないのだが、今日は給与明細ともう一通封書がついていた。 「基本給決定書」。 あーそうか変わるのかー、なんて思いつつとりあえず封筒を開いて中を見て

(,, Д )  ゜゜

↑まさにこんな状態になった。

人事考課昇給額 ¥0
昇格昇給額 ¥0
調整昇給額 ¥1,000


せんえん? たったの1000円? 俺去年の人事考課は決して悪くないのに1000円? ていうか人事考課ゼロって何? これは何かの間違いか?
それとも何か悪い事でもしたか? etcetc…
熱っぽい頭を18,000rpmブン回して考えた。 ここまで考えればポアンカレ予想の証明も出来るんじゃないかと言う位考えた。

◎…答えは極めて単純だった。 ウチの会社、昇給時期が1月だったwwww 今月行われたのは賃金制度見直しで調整が入っただけなのだ。 そういや年明けに普通に昇給してたわ… ああ、びっくりした。 熱上がるっちゅーねん。
ていうか、単に調整するだけの通知を年度の定型文使って、しかも4月に送ってくるなっちゅーねんw
まあ、忘れてた&勘違いしてた私が悪いんだけど。 カネに無頓着なのも考えものだよな…

2010/04/22

【Sound Wroks】MIDIインターフェース

◎ウチのMIDIインターフェース、UM-880、とっくの昔に生産終了しているコイツ、唐突な言い方でアレだが、


これはたとえ10万円積まれても売りたくない逸品なのではないか?


…と最近思い始めたw だってすんげぇ便利なんだもん。 スタンドアロンパッチャーにもなるしw 8ポートもあるしw

◎と言うのも、S90XSもマルチポートMIDIとはいえ外部に送出できるMIDIポートは実質1ポートのみだ。 相手側が1台ならいいが、複数のMIDIデバイスがあるとMIDIスルー端子でのシリアル接続はタイミングの問題があるので、複数のMIDIポートを同時送出できるマルチポートMIDIインターフェースか、複数のMIDI端子に信号を振り分けるMIDIパッチャーが必要になってくる。
ところがどっこい、外部音源でのDTM全盛期を過ぎた今、この「マルチポートMIDIインターフェース」が極端に少ない上、MIDIパッチャーとなるとほぼ皆無!! スタンドアロンで使えるのはMTPぐらいか? 高すぎるわそんなもん!!

◎「えーでも今時複数デバイスいっぱい持つ人なんてそんな居なくね?」…確かにそうかも知れない。 MIDIでなくMTCでの同期信号を取ろうと思ってる人もそうそう居ないかもしれない。 しかしあると無いとじゃ大違い。 特にA-880譲りのパッチベイ機能は便利極まりないのだから、やはりUM-880と550はディスコンにすべきでなかったと思うのだが…どうしてもハードウェアデバイスの事を考えてしまうあたり、やっぱり考え方が古いのかなぁ、私。

【Sound Works】s90XSインプレ2:MIDIまわりの仕様について

◎さて、インプレ第2回はエディター周りやリモート周りをインプレする予定でいたのだが、実際書き始めた所MIDI周りの設定だけで結構な情報量になったので分割することにした。 と言う訳で今回はS90XSのMIDI周りの仕様とセットアップについて。

◎まずs90XSとPCの接続についてだが、これはほとんど「USB接続専用」の仕様と考えたほうがいい。 と言うのも、S90XSは単体では音色やリモートテンプレートのエディットが出来ず、それらを行う為のPCエディターがマルチポート通信前提になっているからだ。
どういう事かというと… S90XSとPCをUSB接続・ドライバインストールすると、5つのポート作られる。 これらはそれぞれ、
Port1:内蔵音源部とのMIDI信号のやりとり
Port2:フィジカルコントローラーとしての信号のやりとり
Port3:s90XSのMIDI In・Out信号へのスルー出力
Port4:音色エディターソフトの通信ポート
Port5:リモートテンプレートエディターソフトの通信ポート
…と言う役割になっている。 勿論普通にPC→MIDIインターフェース→MIDIケーブルで接続、という事は可能(※1)なのだが、この場合Port1だけが使用されることになるため、他の機能は使えなくなり、DTM音源よろしくMIDIでの音源ドライブとコントロールチェンジを介しての音色調節しか出来なくなる。

◎困った仕様だなーと最初思ったが、エディターを使用すると何故この仕様になったか解る。 通信速度やエディターの反応速度がやったら速い上に、全ての機能を同時に使用できる。 特にSoundDiverやMOTIF Voice Editorでその遅さに悩まされた身としては通信速度の速さは驚かされた。 なるほどこの反応速度なら本体側のエディット機能はメリットないよなー。 PCのほうが解り易いし。(このへんは次回)

◎それともう一つ触れておきたいのがリモートコントロールの仕様。 DAW Remoteモードに入った時、初代MOTIFはMIDIコントローラとして複数チャンネルのコントロールチェンジを送信、MOTIF XSはフィジカルコントローラの動作プロトコルを送信する(ESは知らん)が、s90XSはその中間的な動作となる。 具体的に言うと、トランスポートやジョグダイヤル、カーソルや数値等の各種キーはフィジカルコントローラのプロトコルをPort2から送信するが、4つあるノブとスライダーはPort1から鍵盤と同一チャンネルのコントロールチェンジを送信する。

◎この仕様が、ノブ・スライダーの機能の違いとして出てくる。MOTIF系ではノブ・スライダの操作を複数チャンネルのコントロールチェンジやフィジカルコントロールプロトコルとして送信する事で、ある特定のパラメータ(トラックボリューム、パン、EQ等)を複数トラック同時にコントロールできる。 ただしノブ・スライダがコントロールできるパラメータは一種類なので、異なるパラメータを操作するときはキー操作でパラメータを切り替える必要がある。
一方S90XSのノブ・スライダが送出するコントロールチェンジは全て同一MIDIチャンネルで、「現在アクティブになっているトラック」に対するもののみとなるため、他のトラックを同時に操作する事は出来ない。 が、複数あるノブやスライダーに全て異なるコントロールチェンジを割り当てられる(※2)ので、今選んでいるトラックの様々なパラメータを最小限の切り替え操作(※3)でコントロールすることができる。

◎言わば、「MIDI鍵盤付きフィジカルコントローラ」のMOTIF XSと、「フィジコンプロトコルを一部利用するMIDIマスターキーボード」のS90XS、と捉える事ができる。 どっちがいい悪いは良く判らないが、MOTIF XSのようにミキサーのフィジコンとして動くんだったらムービングフェーダーじゃないと意味なくね?とか思う(※4)し、「マスターキーボード」として考えると、 操作対象がS90XS自身・ソフトシンセ・外部音源・オーディオトラックのいずれでも、同一の感覚で作り込んで行けるのが、いかにも「シンセサイザーを操作してる感」があっていいと思う。 最初は初代MOTIFとの仕様の違いに戸惑ったけど、解ってしまえばすんなり使えるからね。

◎ところで、このPort2のフィジコンプロトコルだが、DAW自体はCubase・Soner・Logic・DPに対応しているが、Cubase以外のDAWで使用する際にどの機種として動作するのか、マニュアル探したが発見できないw
こちらのBlog等を参考にさせて頂きながらやってみたところ…
結論を言うと、LogicではS90XSはMackie Controlとして認識される。 コントロールサーフェスセットアップでMackie Controlを手動インストールし、通信ポートをPort2にすれば動作してくれる。 参照先のBlogはポートの設定で躓いたらしいが、ウチは素直に動いた。

◎ただしこれだけではノブ・スライダーは動作してくれないので、送出されるコントロールチェンジに対応するパラメータをLogic側で指定する必要がある。 これのやり方に関してはこちらの記事でMOTIFの設定をやったのと同じく、コントロールサーフェス→コントローラアサインメントで設定する。 MOTIFと違うのは、コントロール対象が「被選択」であることのみで、やり方は全く同じで良い。
具体的な設定例は次回公開予定。

◎…と言う前提を踏まえた上で、次回こそエディターとリモートモードの使い勝手についてインプレする予定。 お楽しみに(誰が?)

※1:UtilityのMIDIでMIDI In/Outを「MIDI」にする必要がある
※2:この「操作するコントロールチェンジ」を設定するのがリモートエディタの仕事。
※3:ノブファンクションが2種類あるため、その切り替えは必要。
※4:コントロール対象のトラックを変える度にフェーダの同期操作が必要になるため。

2010/04/19

【Diary】右腕が笑う日々

◎S90XSがやってきて3週間程になるが、連日サルのように弾きまくっている。 どうせたいした腕前は無いので弾き散らしているといった風情ではあるがw
いやあ、「3回程ロードテストを書く」と言って全然更新してないが、一応2回目のロードテストの文面はある程度あるのだ。 …会社の昼休みとか使って書いてるんだけどw 部屋に戻るとめし作って食って洗ってあとは寝るまで弾き散らす→腕が疲れて寝る、の繰り返しで、この日記のヨウにベッドに寝っ転がって書ける程軽い内容でもないので結局更新が滞っている,という状態。

◎S90XS、何が良いってその「潔さ」。 飾りっ気一切ありません。シーケンサーもありません。 FireWireも積んでません。 本体だけだと音色のエディットもあまりできません。 となれば弾くしか無いじゃないかw
MOTIFのときはなーんとなく「シーケンサーもサンプラーも使わないのは勿体ないかなぁ…」なんて後ろめたさもあったけど、S90XSは全くそれがない。弾くしか能が無いシンセなんだから、弾きまくってこそ正しい使い方、である。
勿論MOTIF XSの方向性も否定するつもりは毛頭無いが、私の今の身の丈には一番合っているように思う。

◎そういえば総入れ歯。 このたび餅が最後の使命を全うし、近所のハードオフにドナドナされて行った。 何しろ鍵盤が壊れていたので既にジャンク品としての扱いにはなったが、まあ8年間弾き倒して塗装もボロンボロンになるまで使って、カネ払って粗大ゴミにされるよりは全然いいだろう。 二束三文の値しかつかなかったが特に不満も後悔も無い。 私の鍵盤ライフを形作ってくれたW7・W5・MOTIF、の歴代YAMAHAシンセ達に、最大の感謝を。

2010/04/17

【Mobile Diary 】チェア

置き場のある無しは置いといて、これはやばい。

2010/04/14

【Maclife】ぬはー、新型MBP。

◎今のMacbookが3年立つので、MBPがCore i5あたり搭載したら買おうかな〜なんて思ってた矢先に出やがったwwww
どうすんだよオイ!! s90XS買ったばっかだよオイ!!

◎とはいえ、もうここ数年ですっかりPCスペックに素人になってしまったワタクシ。(説得力ないな…)ここ3代、オンボードチップセットのGPUしか使ってなかったもんで、「GeForce GT 330M」とか言われても何が何だかさっぱりわかりませーん。 Core i5がCore2Dupと比較してどれぐらい速いのかわかりませーん。

◎そもそもそんな速度が自分に必要なのかもわかりませーんw 普通に現状でLogicが不足なく動いちゃってるしなぁ… 以前は3年もほっとけば、ソフトもハードもサービスも3年前のPCでは使い物にならんぐらいの世代交替をしてたのに、今じゃなんら不自由が無いしなぁ。 正直s90XSとの合わせ技でおさいふぴーぴーになる思いをしてまで買おうとは思ってない。
道端で30万円拾ったら買うかもw

◎ただ、ガラスタッチパッドが慣性スクロールに対応したのは良い事だと思う。 そして何の説明が無くても直感で「いい!! 欲しい!!」と思えてしまう所がMacの恐ろしい所であるw 実際今更Windowsノートに戻ろうと思ってないし… サブ機としてなら購入は考えてはいるけど。

2010/04/11

【Mobile Diary 】上野

不忍池なう いい天気。

2010/04/10

【Mobile Diary 】ぱすも

◎お出かけするときぱすものチャージはいつも二千円
何処に行くにも二千円

だから時々残高がすごいことになる

そんな残高を使ってチャージしないで電車に乗るとちょっとうれしい気分。

別に得はしてないのにね。

2010/04/09

【Sound Works】s90XSインプレ1:珠玉の音色と操作性

◎念願のs90XSがやってきて,家事も用事もそこそこに弾きまくっている.旧餅を「鍵盤楽器」として認識し出してから、ずーっと欲しかったsシリーズ。 珠玉のピアノと至高のタッチだけでも24万円の価値はあるが、逆に言えばシーケンサーもサンプラーも拡張性も無いシンプルなシンセサイザーである。 しかし音色も機能も、使い込むと結構奥が深い。
今までロードテスト形式での機材インプレなんてやらなかったが、書きたい事が単独エントリでは到底収まりそうにもないので私の気力が続く限りこういった形式でインプレしていこうと思う。(予定は3回)

◎さて、もう何度もこのBlogにも書いてきた,s90XSの最たる特徴「Natural Grand S6」だが,これを始めとしたS6グランドピアノ系の音色だけは別格…と言うか,完全に「音のキャラクターが違う」。 後述する「YAMAHAのシンセの音」をイメージしてるとモノの見事に裏切られ,もはやこれは他社のシンセなのではないかと思えるほどだ.
一番比較しやすいのがプリセット2番,MOTIF XSではプリセット1番を張っている「Full Concert Grand」だろう. Full Concert GrandはMOTIFらしい,派手で明るくクリアな音色だが,Natural Grand S6には殆ど派手さが無く,高域をやや押さえ,響板での「響き」を重視したウォーミーな音色で,最近の超大容量ソフトシンセのピアノに近い,ある意味とても「YAMAHAらしくない」。
勿論一概にどちらがいい悪いとは言えず,あえて二つを分けるなら「再現性のS6,個性のFCG」といった感じだろうか. 要は曲に応じて使い分けることが肝要,ということである.

◎そしてこの2音,BH鍵盤のタッチ・ベロシティ特性とのマッチングが素晴らしく,音色や倍音の変化の破綻が最小限に抑えられている. 実はこの2音,ベロシティスイッチを殆ど使っていないのだ. 8エレメントの強みを生かし,ベロシティ・音域毎に違うエレメントで構成され,それぞれの波形に最適なフィルター・スケーリング設定がされており. ソフトシンセのピアノの多くが波形切替ブレークポイントで全然音が変わってしまったり,隣り合う音階の音が全然違ったり,そもそもMIDIキーボードのベロシティ値と音源側の音量変化が全然マッチしていなかったり,といった「演奏と音色の関係の破綻」がある中,s90XSは極めてスムーズに音色が「つながる」. 単音や作りこんだMIDIフレーズでの聞こえはどうだか知らないが,鍵盤に指を下ろしての気持ちよさはソフトシンセにまったく負けることがない。

◎さて,新規追加のS6以外の音色に関してはどこまでも「MOTIF系の音」である. 特に初代から評判の良い繊細なエレピ, 擦弦音と厚さに特徴のあるストリングス,パワーのあるドラムは特筆モノで,従来弱いとされていた金管・木管・生ギター等もベロシティスイッチ+8エレメントの恩恵を受け格段にクオリティが上がっている.
ただ,以前MOTIF XSを初めて触ったときに書いたことだが,初代MOTIFで確立された「派手でクリアで太さがある」というサウンドキャラクターはだけは8年近くが経過してもほぼそのまま引き継いでいて,聞けば一発で「あ,YAMAHAの音だね」となる. かつて初代MOTIFが登場したときのような「え,これがYAMAHAのシンセ?」という驚きはないが,その分安心できる. それだけにYAMAHAらしさもMOTIFらしさも一切ないNatural Grand S6が一層特異に思えるほどだ.

◎ところでこの「YAMAHAらしい音」…高域の出まくった音ってのは,言い換えると「楽器音をそのまま目の前で聞いたときの音」を目指していると思う. ナニを言っているかと言うと, DTM界隈でもてはやされる音源の殆どは「CDから流れてくる楽器の音」の方向を向いていて,意図的に高域の倍音を削った音色が多いのだ. 殆どの人にとって楽器音を聞くのはCDなのだから,その音がリファレンスになるのは当然で,その傾向をもつ音源でアンサンブルを組めば自ずから気軽に「売り物音質」のアンサンブルは組める.ところが倍音がないのでEQしても一向に効かない.一方でMOTIF系の音はそのままアンサンブルを組むとやったら高域のうるさいサウンドになるが,軽く12~15kHzあたりを軽く落とすだけで一気に印象が変わる. 倍音が多い分,EQの効きがいいのだ.

◎初代MOTIFが出た頃はともかく,今は音源自体にもパートEQがあるし,DAWでパラ録り→EQとやるのにお金も時間もかからない.s90XSにはCubase AIも同梱されているのだから、そこそこの性能のPCと適当なオーディオI/Fさえあれば簡単にパラ録音してのEQの作りこみが出来るのだ。それならわざわざ音源側を「CDの音」にする必要はない。
ステージで使うにしても、これだけ高次倍音がきっちり出ていれば自然と音のヌケも良くなる。 基本ハコってのはギターの爆音ばっかり聞こえて鍵盤の音は聞こえない事が多いからね。
YAMAHAの音を嫌う人が結構いるのも事実だと思うが、きちんとツボを押さえれば、モトが「CDの音」よりもいろんな面で融通が利く、それがMOTIF以後のYAMAHAシンセの音のキャラクターなのだろう。

〜〜〜

◎さて、操作性に関してだが,とかくLCDの小ささが叩かれるが(少なくとも私は)さほど気にならない. どうせ弾いている最中に音色名なんて見ないしねw むしろ,スライダーやノブを動かした際に現在動いている操作子の設定値「だけ」が大きく表示されるのに好感を持った. MOTIF XSの時,画面の情報量が多すぎて何がなんだか判らなかったが,これはとても把握しやすい.
また触り倒しているとs90XSが「演奏すること」を主体に設計していることが良く判る. ことに大型になったノブと,鍵盤から非常に近い位置に配されたオクターブシフト・トランスポート・アサイナブルスイッチの操作性がとても良い. この位置だと,曲のキー変動に合わせて無理矢理キーを変えることもやろうと思えば出来てしまう. (音を止める必要があるが…)

◎それにしても,私が知る限り,オクターブシフトはともかくトランスポーズキーを装備したシンセサイザーはこれが初めてじゃないだろうか. (MIDIキーボード,ならほぼ必須の機能だが…) 演奏系シンセでトランスポーズ? 邪道じゃね? という感じもしないでもないが,考えても見ればギタリストだってカポタスト使って自分の弾きやすいポジションで演奏しているのである. ギターが良くて鍵盤がダメな理由はないだろうw 使ってくれと言わんばかりの位置にあるのなら,使わない手はない. まあそれでもやっぱり原キーで練習はしといたほうがいいと思うけど、手軽にトランスポーズしていろいろな調の曲を自分の指が憶えたポジションで気楽に弾くのはやっぱり楽しい。

◎…と、第1回はここまで。 次回は音作りに必須のエディターの使い勝手と、DAW環境でのマスターキーボード性能について見てみよう。

2010/04/07

【Diary】書き貯め日記2:酷寒のさくらまつり(笑)

◎さてお次は4/4。 松戸市は常盤平のさくらまつりに突撃。 何故松戸か? それは数日前に「どっか近郊のさくらまつり無いかな」と思ってネットで漁って発見し、イベント参加の団体名を見ていてふと「そういえばマイミクシィの某さんがここのイベント参加団体にいなかったけ」と思い出し、たったそれだけの情報でわざわざ松戸まで突撃したのだw さすがヒマ人だな俺w

◎この日の朝は天気が良かった。 天気が良いととてもテンションの上がる私。 さっさと洗濯機を回して外に干し、天気がいいからと春の装い+Pコート、という出で立ちで出発したら、だんだん雲行きが怪しくなってくる…ていうかすっかり曇ってしまい、常盤平に到着した頃にはすっかり曇り空+しっかり寒い。 この時点で既にコートの下が春の装いである事を後悔したが、今更遅いw とりあえず酒でも呑まなきゃやってらんねーよということでかけつけ1杯。

◎駅に到着してすぐ、横からお囃子が聞こえてくる。 何やら神輿もやってくる。 おお、あれだあれだ。 写真を撮りつつ待っていると某さんも横に居た。 目が合った…のだが明らかに不思議そうな目をしてるw もしかして俺と気がついていないのかw
後で声をかけたら、半信半疑で誰ですかとか言われる始末w
某さん曰く「こんな所に居る訳が無いと思った」そりゃそうだ。 普通茨城県民はこんなとこに来ないよねw

◎とりあえず今日の目的は半分は桜を見に来た、半分はお囃子を聴きに来たようなモノなので、ボチボチと桜並木を歩きながらお囃子の山車を待つ。しばらくするとやってきて、山車パレードのゆっくりしたペースにあわせてゆっくり歩きながら写真を撮りまくる。 半分桜、半分お囃子w
まあでも去年三社祭に行った時も思ったけど、こういう太鼓・お囃子ってイイね。あまり私は「和」属性の人ではないけれど、やっぱりDNAは日本人。 太鼓や笛の音色が心の琴線をはじく。 ていうか太鼓の音色と山車と神輿と桜、考えてみれば合って当たり前の組み合わせだけど、なかなか普段お目にかからない分それらのコントラストがなんとも楽しい気分にさせてくれるじゃないですか。

◎それにしても寒いっ!! 時間の経過とともにどんどん寒くなってくる。 お囃子は楽しいけれど、これは死ぬ…と言うコトで少し先に進み、じゃがバターなんぞを食みながら待ってると、おお、某さんが叩いてる!! うおーかっこいい。 これも写真に収めながら、山車と私は桜並木を練り歩く。
しかしどんどん下がる一方の気温。 春の装いの私。 良い加減寒くなって来たので先にパレードの終点近くまで行こうとしたら、今度はサンバカーニバルの集団に巻き込まれて身動きが取れなくなるw どうにかこうにかサンバを追い抜き終点にたどり着いたが、今度は休憩できそうな店が無い(´・ω・`)。
ガックリと肩をカカトまで落として戻ると山車が居ない。 どこいった!!

◎ふと見ると道端で山車と神輿がくつろぎモード。 ありゃー、終わっちゃったのかー(´・ω・`) と言うコトでお疲れさんメールを出したら返信が「休憩中」 おお、終わってないのか!! もうここまできたら最後まで行くぞ(#゚д゚)オラー!,と言うコトで今度は甘酒なんぞで寒さに対抗しつつ、山車と神輿の人だかりにもまれながら五香の駅までねり歩く。
すると…パレードの最後、五香の駅前でボルテージは最高潮に。 これはもう一種のトランスだね。 この瞬間だけは寒さを忘れた。

◎しかし、私の体力もここまでだった… どうにか喫茶店を見つけて飛び込み、このまま帰るかバカ船長のライブを見に行くか数分考え、「体力的にもう無理」…ってことでこの日は帰宅。 そしたら案の定翌日風邪引いたw 馬鹿だから風邪ひかないと思ってたのにねw

【DIary】書き貯め日記1:桜の季節


◎さていよいよ春本番。去年は桜なんて見てる余裕は無かったが、1年も経ってしまえば週末はおしなべてヒマ。まずは4/3、RX-8の85,000km点検の帰りに私が東京一美しいと勝手に認定している小石川・播磨坂の桜の監視にいってきた。
ここのさくらまつりは1週間前で、そのときは寒くて花見の宴会ももはや修行の域に達していたが、この日は抜ける様な快晴。 陽気に誘われて近隣住民が宴会を開き、お花見ムード一色。
この播磨坂、通りの雰囲気がいいし沿道のレストランがうまいんだこれが。

【Sound Works】いまどきSSW

Singer Song Writer 9.0 Professional

◎SSWかぁ…まあ,中部地方の某氏は小躍りして喜ぶかもしれないけど,これ新規顧客捕まえられるのかね? 昔SSWを使っていて,あまりにもバージョンアップされなくて難民化した人が飛びつく以外の需要がないと思うんだけど…
というのも,今売り出すシーケンスソフトとしてはあまりにも時代遅れ過ぎる. それこそ6年前なら良かったかもしれないが… iLifeの一部であるGarageBandや,YAMAHA基材のオマケであるCubase AIより機能が低いのではないか.
まさか今時外部MIDI音源…ってかGSやXG音源のドライブを主眼に置いた設計してたりしないよな? なんて不安になってしまうほどだ.

◎それでいて7万円って… Cubase AIなら2万円以下で手に入りますがw しかもオーディオI/Fごとw LogicExpressなんて3万円ですよ? ていうか7万あったらLogic Studio買えますよ?w 幾らなんでもボッたくりすぎ. ていうかこの機能でこの価格って、それこそCubase VSTのバージョン5の頃とか、そんな時代なら納得するけどさ… 当時高嶺の花だったLogic Platinum5より低機能で6万は明らかなボッタクリ。
いや、むしろ信者だったらカネ払うからってこんな強気な価格設定にしたのだろうか。

2010/04/01

【Music Works】S90XSがキタ━━━━(゚∀゚)━━━━ !!!!!

◎エイプリルフールネタではありません。本当に買っちゃったよS90XS。S80の登場以来、ずーっと憧れていた「S」を遂に購入である。鍵盤をきちんと購入したのは…日記をひっくり返すとなんと2002年の5月。8年も前の話じゃないか...
正直なところ餅にはまだまだ愛着もあるのだが、なにぶん鍵盤が壊れてしまっては致し方が無い。♪レとレの音が出な~い、どうしよどうしよパキャラマ~みたいな状態では弾きたくても弾けない。

◎しかしいよいよ購入となると10万を超える買い物は(たとえやもめになっても)腰が引ける自分。楽器屋にたどり着いて、試奏をしつつ考え込んでは、動物園の熊の如くぐるぐると歩き回って買おうかどうしようか思案に暮れる漆黒のロングコート32歳。 店員さんごめんなさい、どう見ても怪しかったよねw
まあ結局「餅の鍵盤が壊れてちゃぁどうしようもない」と言うのが最後の踏ん切りになったわけだ。

◎そういえば、購入が済んでから店員に聞いたのだが、S90XSって売れてないのかと思いきや、意外に売れているそうで、S90ES下取りに出してでも買う人もいたそうな。DTM板の評判はあてにならんなw 一方でS70XSはさっぱり売れていないらしい。
まあ、76鍵と88鍵の価格差を考えればね…

>◎おおよそ想像はしていたがやってきたS90XSの箱はデカくて重かった。 ただ、MOTIF8のそれよりは奥行き方向が一回り小さい。 そしてS90XS自体も、ひとまわり小さい。幅はほぼ同等だが、奥行きと高さが小さいのだ。88鍵シンセと言う事を考えれば、かなりコンパクトな部類だと思う。
とはいえ30杉のオッサン片足突っ込み野郎が餅の撤去とS90XSの設置をすると腰が悲鳴を上げそうなので、会社の後輩をタバコ2箱で買収して設置。 ありがとう後輩。

◎そしていよいよ試奏。 オマケでつけてくれたFC3(非売品って書いてあったな…何故か)を繋いで音を出す。 勿論音色はプリセット1番「Natural S6」。
…うおおおお(感涙)餅ピアノとは全然違う、どこまでも「ナチュラル」な音。特徴はあってもクセのない音。 これをソフトシンセの数十分の一の容量で実現しているのだ。
一方でプリセット2番、「Full Concert Grand」はMOTIF直系らしいローハイの上がった堅く力強い音。(MOTIF XSではこれがプリセット1番) レコーディング前提のモニター環境ではややハイが耳につくが、これを内蔵EQで軽く落とすと実に透明感のある音になる。 正直言って、この2音と珠玉の鍵盤の為に
20万円出したと言っても過言でない。

◎やはりこの力強くクリアーな出音とマルチサンプルのスムーズなつながり、至高のタッチと破綻のないコントロール性、そして指先・耳から全身に伝わる「高揚感」は、ソフトシンセ+MIDIコントローラには絶対真似の出来ない領域だ。正直KX8とかの「鍵盤だけ」にしてソフトシンセメインに移行しようかと思った時期もあったし、コスト的には絶対そっちのほうが有利なのだが、それだけでは埋められないものがS90XSには確実にある。(MOTIFが最新鋭だったころには、MOTIFにもあった)。ソフトシンセが「音源」なら、ハードシンセはやっぱり「楽器」なのだ。

◎そしてもう一つ、これまたMOTIF XS直系のパフォーマンスモード。 初代MOTIFの時点から強力なパフォーマンスモードを持っていたが、XSのそれは実は中身がQYシリーズなんじゃないかと思える程だ。 アルペジエータがもはやパターンシーケンサと呼べる程の出来で、それが4系統もあるので、事実上4トラックバッキングシーケンサとして機能する。 左手でルートを押さえてリズムとベースを鳴らしつつ、右手でバッキングを鳴らしてマイクで歌えば簡単に「ひとりライブパフォーマンス」の完成だ。 これは楽しい!!
これ、パフォーマンスクリエータで自分の好きなように組めるのかな。 それはそれで楽しそうだし、ライブ(私はしないけど)ですごく使えそう。

◎いやあ、音楽関係の投資は本当に久しぶりだけど、その分いい買い物をしたと思う。
まだまだ(夜を徹してでも)触りまくりたいし、Blogに書きたい事もいっぱいあるのだが、まだまだ全然触れてないし、やたら長文になりそうなので数回に分けてロードテスト的にインプレしていく予定。
とりあえず今言える事は、DTMの世界に足を突っ込んで十数年、やっと「音源」でない、面白みのある「楽器」に出会えた、ということだ。

【Diary】CP1を買いました

…はい、うそでーすw
流石に買えないよ…