2008/02/25

【Sound Works】ミックスダウン

◎録ったからには、ミックスダウンを行わねば。
と言うことで、昨日録音に行ってきたデータのMix出しを行っている。 今回は音源にするつもりは無いので、ラフミックスとしての補正以上の音作りはしていない。 と言うか私のミックスダウンは、空間系以外のエフェクターを殆ど使わず、「出音の補正と音場づくり」がその主作業になっている。 これは作業主軸がAW4416で、Logicのようにエフェクターを無尽蔵に使えない,と言う事情も有りはするが、それだけが理由ではない。

◎私のレコーディング・ミキシングに関するスタンスは二つ。

1)レコーディングでは、「音を創らなければならない」
2)ミキシングでは、「音を作ってはならない」
音を「創る」のはアーティストの仕事だが、それをただ「忠実に」録るだけではつまらない。 現音を極力劣化させず,豊富な情報量を持って,時として「エスプリ」も交えて録ることが、レコーディングにおけるエンジニアの「音創り」である。

◎一方でミックスダウンは、例えるならば「レベルと周波数」と言う枠の中にパズルを組み立てるようなもので、パズルのピースは本来のピースよりも大きい。 そこにハサミを入れてピースの形に整えて、組み上げて行くのだ。
ピースにもとからかけている部分を補う事ができないのと同じように、レコーディングで失われたものは取り戻す事は出来ない。
コンプやEQやエフェクターで音が「変わった」ように思えても、それはどこかから別のものを「継ぎ足して」いるにすぎないのだ。 これは「創作」ではなく単なる「作成」…「ツクリ」になってしまう。

◎以上の様な事から,私のMix作りは基本的にEQとコンプによる補正が8割、あとは空間系のチューニングがメインで、あとからミックス目的でエフェクト(とくにモジュレーションや歪み)を入れる事は全くと言っていい程無い。 面白みが無いといえばそれまでかもしれない。
しかし料理にしたって、素材の味を活かすのが一番美味しい料理ができるものだ。 ミックスダウンだってきっと同じだと思うし,その「素材の味を活かす」為に最小限の手を入れると言う行為も、また楽しいものである。

2008/02/24

【Sound Works】バンドレコーディング(5回目)

◎昨年12月からスタートしたバンドレコーディングも今回でもう5回目。 今回は「バンドの練習が主、MTRは回しているだけ」と言う初回のスタンスで仕切り直して、サウンドの詰めを行う方向で実施。
そして私自身にも課題があった。 それは「バンド一発録音でいかにバンドメンバーに丁度良いモニターを返せるか」である。

◎もう何回かこのBlogでも書いてるが、AW4416は「モニター返し系統が非常に弱い」と言う欠点が有る。 通常モニター返しのMixはAUXで作るものだが、AWのモニターセクションはAUXの信号をモニター出来ない為、AUXで信号を送ってしまうとその信号がどういうミックスになっているのか、耳で確認する手段が無いのだ。
また、AUXの送り常にプリPAN固定で、ポストPANでの送りが出来ない。 ドラム等の定位を出す事が出来ないのだ。

◎また例によってヘッドアンプはハウス卓のものを使用して、ハウス卓のダイレクトアウトからAWに引っ張る結線で録るわけだが、今回ハウス卓はベリンガーのMX3242X。 この卓、ダイレクトアウトと言いつつ何故か信号取り出し位置はポストフェーダなのだ。(ブロックダイヤグラム上はプリフェーダなんだけどなぁ。) こうなるとハウス卓でのモニター作りも出来ない。(フェーダを下げるとAWへの送りレベルも下がってしまうため)
さて、どうしたものか。

◎困っていても仕方が無いので、とりあえずハウス卓への返しはAWのインプットチャンネルのフェーダでMixを作り、バス1-2に流す。 この方法ならステレオバスへの送りをOnにすれば同じ信号をモニター出来る。(いちいちトラック分のステレオバス送りを入り切りする必要が有るのは面倒だが…)
一方レコーダーモニターチャンネルは基本ステレオバスに流し、オーバーダブや仮Mix確認時など、必要な時にだけバス1ー2に送る。 こうすればオケ録りの時点で仮Mixを作れて、オーバーダブ時にはその仮Mixを使って作業出来る。

◎狭いリハスタの録音なので楽器の返しをハウスモニターから返す必要が無いのが幸いした。 ヘッドフォンを使わないので,カブリと言う意味では圧倒的に不利だが…特に今回は15畳前後と言う非常に狭いスタジオなので厳しいかな…と思っていたのだが、いざ録ってみたものを聞いてみると,意外にカブリが少ない。 全員が向かい合わせになるようなレイアウトでだったのが幸いしたらしい。

◎また,今回は試みとして録る段階でスネア・オーバートップ・声マイクに関しては80Hz固定でHPFを入れた。(今までミックスダウン段階で入れていた) 近接効果や金モノの低域、カブリのキック等をうまくアイソレート出来ているので、これは使わない手は無いな。
あとはオーバートップのマイキング。 従来まではドラムの両端から立てていたのが,今回は前面からクロスするようなイメージで狙ってみた。左集音用のマイクを右から,右用を左から立て,先端を90度クロスさせる様な角度で狙った訳だ。

◎このセッティングの狙いは両端セッティングでの「中抜け」の防止。 中央定位の音像を極力はっきりさせることでライブ感を狙ってみたのだが…結果は上々。 オンマイクでは狙いにくいスネアの倍音(高域)成分や、金モノの部屋鳴りを加えたライブ感がイイ感じで録れている。
本番レコーディングも近いのだが,とりあえずオーバートップはこのセッティングで行く事にしよう。

2008/02/20

【Music Works】秋茜 (Mix at StudioAllegretto2008)

MP3(192kbps VBR On)
◎…と言う訳で,数年間に及ぶ音楽活動休止状態からの脱却&Logic導入の練習を兼ねて「あのときのあの曲をもう一度」シリーズ第一弾、「秋茜」。 よく考えたらこの曲、録音は3回目だ… オリジナルに入っていたSEは無くなり、テンポも少し遅くなった(まあ、記憶頼りでやったらオリジナルより遅かったってだけだけど)程度の違いはあるが、アレンジの骨格は変えていない…のに毎回毎回,別物になるんだよなぁw

◎今回は以前の日記にも書いたように、全てのトラックを新規で作り直し。 で、使用した音源はGarageband Instruments。 (メロディベルのみEXSP24) もともとがDTM音源で作ってたってこともあってその差は歴然。 「AW…」は音源の性能をMixで補おうと頑張ったけど、今回はさしたる苦労も無く「納得の音色」になった。 …こんなのが追加音源無しで揃うんだから、やっぱLogicってパッケージは恐ろしいw

◎ミキシングに関しては、最初は本当に全部Logicだけで作業するつもりだったんだけど、空間系(PlatinumVerb)のデキに納得できず、リバーブのみM|Oneのステレオホールを薄く混ぜてやりました。 なんか録り直すたびにリバーブが深くなってる気がする… 最近は最低2系統はリバーブ使うのがデフォになってるしなぁ。
本当はちゃんとやるんだったらドライ音、リバーブ音、M|One送り出し音それぞれバウンスしてAWでミックスしてやるべきなんだろうが、そこまで手間をかけてないので処理落ちによるチリチリ音が所々入っちゃってます。そこはご愛嬌ってことで。

で、今回は比較を楽しむ、と言うコトで過去のMixもマスターWavからmp3を起こし直しました。
初代:MP3(192kbps VBR On)
AW版:MP3(192kbps VBR On)
今聞くと初代はすごくチープだし、AWMixはいまいち広がりに欠ける感じがする。 それぞれ作った当時のベストは尽くしたつもりなんだけどね… 曲調的には今回みたいにばぁ〜んと音場を広げる方が合うのかな。

◎で、両方に言える事として倍音不足で「クリア過ぎる」音がする。 シンセの音ってのは不必要な非整数次倍音は大体切り取ってしまうものだけど、EXSPやGaragebandはそういった音の「膜」のようなものがあえて残ってて、それが逆に味と言うか雰囲気と言うか、いいエスプリになってると思う。 これが波形容量の差、と言うやつなのかな。

◎と言うことで、「あのときのあの曲をもう一度」シリーズ、しばらく続けますんでおつきあいください。
…と言ってもMixの妥協がなかなか出来ないので、次は何時になるやら… Blog以外のWebサイト再構築も終わってないし…

2008/02/14

【Diary】アーカイブ整理

◎昨日ひょんなことから大昔使っていたYAMAHA MD4(MD Dataを記録媒体にした4tr MTR)の動作確認をする事になり、その中で手持ちのMDを再生してみると、なんと10年近く前(「Tokyo Diaryを立ち上げた頃)に作っていた楽曲のマスターがぞろそろと出土。
中には「当時HPにアップする為に作成した音質の悪いMP3」しかデータが残っていないものもあり、これを失うわけにはいかん!と思い立ってしまったが吉日。
今日はミニコンポのMDをMacに繋ぎ、Garagebandでシコシコ録音。 過去楽曲のマスターデータアーカイブを作成してしまった。

◎10年ぐらい前っつーと、音源はSC-88しか使ってないものばかり。本当はW7もMU80もあったんだけど、シーケンサーの仕様上MIDIを2ポートしか扱えなかったのと、MD4が来るまでオーディオ入出力も足りなくて3つを同時に鳴らしたデータが存在しないのだ。
で、会社の当時の同期からMD4を2万円かそこらで入手して、入出力の問題は解消したけど今度はPCがむちゃくちゃ貧弱で「シーケンサーを走らせながら録音」なんて絶対無理で、一旦全部MD4で録音して、それを再度PCに録音し直すっていう力技で曲データ作ってたんだっけ。(MP3に変換もしてたんだけど、5分の曲をエンコードするに20分、しかも音質は壊滅的に悪かった!)

◎MD4での録音も今から考えると思い出深い。MD4っていうMTR自体、(YAMAHAの録音機材らしく)すごく素直な作りになってて、グループバスの概念とかが判り易くて勉強になった。MU80をセンドリターンエフェクトとして繋いでトータルリバーブ処理をやったり、同じくMU80をインサートで繋いで遊びでボーカル録音をやり、聞きかじった「ボーカルはコンプで処理する」と言う話を真に受けて延々悩んだりとか… 貧乏自慢じゃないけど、AW4416へのスムーズな移行や今の録音・音響知識はMD4で苦労しまくった結果なんだろうな。

◎そんな苦労の結晶を今聞くと、SC-88の音って笑っちゃう程淡白なのね。 当時はピーク潰しもやってないから音量感も小さくて、全体的にセンの細い音。
でもそれが妙に楽しいんだよね。 今だったら絶対こんなMIDI臭い音使わないけど、当時はこれで夢を見ていたんだなぁ…と思う。
作曲とか打ち込みとかそういうのをやり始めた時期の曲ばっかりなのですっごく拙いものばかりなんだけど、それを横に置いといて、今自分の中に有るものでリライトしてやりたい作品、いくつかあるんだよね。 「秋茜」の原型ともいえる「アキノソラ」とか。
気が向いたら,やるかも。

2008/02/11

【Sound Works】モニタリング

◎先日からやっているバンドレコーディング、先日ヴォーカル録音を済ませ、一度確認の為のデモを作成する事になったので、先日意気揚々とバンドメンバーにファイルを送って「よっしゃこれで完成。」と思っていたのだが、
その後ふっとPX-200(iPodで使ってるヘッドフォン)で音を聞いてみると…

「な、なんじゃこりゃああああ!!」

ベースがバカみたいに前に出てモッコモコ、金モノは全部幕が掛かったように高域抜けを起こしていた。 はっきりいって致命的な音質になってしまったのだ。

◎あわてて半泣きで全曲のトラックダウンをやり直し。 …とここで、ヘッドフォンモニターすると、それほどバランスが悪く無い(ように感じた)
あれ、これってもしかして…
試しに近所迷惑を承知でモニタースピーカー(MSP5)から音を出してみると,やはりモコモコ音である。 原因はコレか!

◎ATH-M40fsは比較的フラットな特性で、かつ「鳴り」が殆ど無いドライな音がする。 輪郭が非常にはっきりしている分、低域に響きが無い為、量的に不足していると勘違いしやすいのだ。
本来このへんの特性はモニタースピーカーメインで作業していればハマるようなこともない点だったのだが、今回は仕事帰りの作業が中心と言うコトでほとんどがATH-M40fsに頼りっきり、かつ自分自身がATH-M40fsの特性を忘れていた(PX-200の音に慣れ過ぎた)のが要因のようだ。

◎ちなみに、モニタースピーカーでバランスを取り直した曲をATH-M40fsで聞き直してみると、やっぱり良いw
AW4416のシーンメモリーは残してあったので両方聞き比べてみて…なるほど、結局ATHーM40fsの場合、低域がめちゃくちゃ出ていてもその低域が腰砕けしないので、「低域が出過ぎている事」に気がつかなかったのだ。
高域を丸めてしまったのは、PX-200+iPodの組み合わせでハイの落ちた音ばかり聞いていてそれに慣らされたのが要因らしい。

◎「ヘッドフォンは万能じゃない」と言う事をあらためて思い知らされた出来事であった。
と言うかヘッドフォンはやっぱり、S/Nのチェックとかに使うべきで、トラックダウンのバランス取りはモニタースピーカーで取るのが正解だよね… 深夜再生でも近所迷惑にならないように気をつけよう。

2008/02/03

【Logic】ドカ雪降ってLogic日和

◎朝起きると外はドカ雪。 真っ白の世界を眺めていると「ふっ」とフレーズが浮かんだので、今日はLogic打ち込み日和…
…と言う訳で今日は1日自室にこもってLogicで曲作り。 イメージは有るのだけど何せ数年打ち込みらしい打ち込みもやってないのでああでないこうでないと悩みあぐねながら1日が終わってしまった。 まぁ、こんなもんか。
ちなみに今日の収穫は「タイの入力がサスティンペダルでも出来る」と言う点。 従来タイに使用していた左手を鍵盤に持って来れるので,ピアノとかギターとかドラムの打ち込みが非常に高速に出来る。 これは便利だ。

◎あらためてLogicと「データの入力・編集」で向き合ってみると以前Musicatorでチマチマやっていたのが嘘のように快適。 マトリクスウィンドウの操作性に起因する部分が大きいのかな…
Logicでのデータ編集の大半はマトリクスウィンドウでやることになるのだが、ノートデータの編集に適度にスナップが利いていたり、Shiftキーでドラッグ方向を固定出来たり、ベロシティツールを使って単音単位でベロシティ値を調整出来たりと、結構かゆい所に手が届く。 長い事他のシーケンサーを触っていないので簡単に比較は出来ないが、Musicatorと比較する限りは全然こっちのほうが操作感がいい。
難点を上げるとするとExpress故「基本的な編集機能しか持たず、手動でチマチマ編集をする」のが基本である事か。 Proだとこのあたりもかなり違う様なので,やっぱPro入れるか…

◎さて、作業自体は写真にあるようにMacをMOTIFの端っこに置いているので、マウスが使えずタッチパッドで編集をしている。 少々窮屈なのだが、
実際の所音源はGarageband Insturumentsしか使ってない(ピアノとドラム以外、特に不満はない。 特にアコギは使い易い)ので、鍵盤さえ有れば別にこんな思いをしなくても入力作業ができると思う。 PCRを使いたい所だがブッ壊れてしまった(分解して接点洗浄までやったのだがウンともスンとも言わない…)ので、安価なMIDIキーボードでも買おうかなと思案中。
KONTROL49か、はたまたKX49か…(NovationのReMOTE SLも考えたけど、高過ぎる…)